前回の記事で、アップル株を1株だけ買った話をしました。
購入したのは2024年3月。値段は170.39ドル、日本円でおよそ2万6千円でした。
儲けるためというより、好きな会社を応援する気持ちで持っている株です。
今日はその続き。
たった1株で、私の毎日がどう変わったかをお話しします。

株主になると、ニュースの聞こえ方が変わる

世の中がAIの話題で持ちきりだったころ、Appleも「Appleインテリジェンス」というAI機能を発表しました。
ところが、世間の評価はいまひとつ。
「他社のAIに比べて物足りない」という声が多く聞こえてきました。
以前の私なら、「ふーん、そうなんだ」で終わっていたと思います。
でも、株主になった私は違いました。
「本当にそうなのか、自分の目で確かめたい」
そう思って、Appleのお店まで行き、操作の講習まで受けてきたのです。
確かめに行く。これが株主の楽しみ

お店に入って、まず驚いたのはその賑わいでした。
見た目に美しいアップル製品がずらりと並び、お客さんたちがキラキラした目で製品を見ている。
日本は世界でも稀なほどアップル利用者が多い国だそうです。
「この会社は、こんなに愛されているのか」と、株主として少し自信を持ちました。
講習を受けてみた正直な感想は、「確かに、騒がれているAIに比べると、ちょっと弱いかな」というものでした。
でも不思議なもので、がっかりはしませんでした。
私は株主です。心の中で「頑張れ」とエールを送っていました。
講習会場には、若い方にまじって、私と同世代の男性がいました。
聞けば、毎週講習に参加しているのだとか。
iPhoneをうまく使いこなしたいという、その姿。
微笑ましくて、「私も頑張ろう」と思えました。
家に閉じこもらず、外に出て行動する高齢者は、かっこいい。心からそう思います。
ニュースを聞いて、わざわざお店まで確かめに行って、講習まで受ける。
株を持っていなかったら、絶対にしなかった行動です。
たった1株が、私を動かしたのです。
70代の毎日に、こんな好奇心の出番があるなんて、思ってもみませんでした。
株価は毎日見ません。昔、失敗したから

「株を持ったら、毎日株価が気になって落ち着かないのでは?」
そう心配する方もいるかもしれません。
実は私、昔それで失敗しています。
たくさんの株を持っていたバブルのころ。貯金の大半を株につぎ込んでいた私は、毎日が冷や冷やものでした。
1日で10万円上がる。翌日もまた10万円上がる。
そりゃあ、浮かれます。
普段はケチな私が、絶対に買わないはずのヴィヴィアン・ウエストウッドのブラウス、5万8千円を悩まず買ったのもこのころです。
「あら、このお財布かわいい」「このバッグ欲しい」。なんでも買っていい気分になっていました。
ところが数日後には、ドーンと下がる。
それでも「先月利益が出ていたから、チャラチャラ。気にしない気にしない」。
この浮かれた買い物と、泡が消えるような感覚。
今振り返れば、あれがバブルそのものだったと思います。
時代が進んで、ガラケーに「iモード」というサービスが登場しました。
携帯電話でリアルタイムに株価が見られる、当時としては画期的な仕組みです。
うれしくて、一日に何度も何度も確認しました。
そして月末、携帯電話の請求書を見て仰天しました。
1ヶ月の請求額、2万円。
株で儲ける前に、通信料で損をしていたのです。
「何ごともほどほどに」。これも私の教訓のひとつです。
今は、毎日株価を見ることはしません。
テレビのニュースで「株価が上がった」「下がった」と耳にしたときに、「おや、動いているのね」とちらっと見るだけ。
それくらいの距離感が、私にはちょうどいいのです。
1株は、世の中をのぞく窓

アップルの1株は、私をお店の講習に向かわせました。
そして、アメリカ経済への興味も連れてきてくれました。
たった数万円。失っても生活が変わる金額ではありません。
でも、得られたものは値段以上だと感じています。
ニュースが面白くなる。
知らなかった世界に興味が湧く。
70代でも、新しい好奇心がちゃんと生まれる。
1株は、世の中をのぞく小さな窓です。
あなたなら、どの会社の窓をのぞいてみたいですか?
実はこの後、アップルとは違う気持ちで、別の会社の株も買うことになるのですが——その話は、また別の機会に。


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