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株で何度も失敗した私が、70代になってもまた投資を楽しんでいる理由

目次

まずは、漫画でどうぞ

証券会社の営業マンから「業績がいいのに割安ですよ」と電話で株を勧められるキコさん
200万円分の株券を抱えて嬉しそうなキコさん
新聞を見て株価の下落にショックを受けるキコさん
「粉飾決算で倒産」という新聞記事に言葉を失うキコさん
200万円分の株券が紙クズになってしまい肩を落とすキコさん
それでも投資はやめなかったと語る今のキコさん

28歳で株を始めた私が、40代のころに経験した本当の話です。このあと、文章でも詳しくお話しします。


「株って怖くない?損したらどうするの?」

同世代の友人に投資の話をすると、決まってこう言われます。
その気持ち、よくわかります。

株式相場で全財産を失ったという話を、誰でも一度は耳にしたことがあるはずです。
だから怖い。やったことがない人が怖いと感じるのは、当然のことだと思います。

実は、株を長年経験してきた私自身も、今でも怖いと感じることがあります。
バブルで株券が紙切れになったこともあります。塩漬けにしたまま何年も放置したこともあります。

塩漬け(しおづけ)とは
買った株が値下がりしてしまい、売ると損が確定するので、売るに売れず長い間持ち続けること。漬物のように長く置いたままになることから、こう呼ばれています。

それでも今、私は投資を楽しんでいます。
株で儲けることが目的ではないのです。ただ、楽しんでいるのです。
今日はその理由をお話しさせてください。


お茶を飲みながら談笑するシニアたち

28歳のとき、株を始めたきっかけ

青空を飛ぶ飛行機

最初に株を買ったのは28歳のころでした。
当時の取引先の方に「これから海外旅行に行く時代がやってくる。だからJAL(日本航空)を買いなさい」と勧められたのです。

そのころの私は、どの株がいいかなんて全くわからない、まったくの無知でした。
業績を見て株を選ぶなんて、熟練者のすること。私には縁のない世界だと思っていました。

でも、「飛行機を使う時代がやってくるから、この株がいい」という説明なら、知識のない私にもすっと入ってきたのです。
株を買うということは、その会社の未来を信じること。
業績の数字がわからなくても、「これからどんな世の中になるか」を考えればいいのだと、そのとき初めて知りました。

実際に株を買ってみると、不思議なことが起きました。
日本人が海外旅行に行っているというニュースが、急に気になりはじめたのです。
「そうか、海外に行く人が本当に増えているんだ」と実感したころ、私自身もはじめてシンガポールへ旅行しました。
JALではありませんでしたが、海外旅行のワクワク感は格別でした。

株を持つと、世の中の動きが自分ごとになる。これが私の投資の原点です。


バブルで株券が紙切れになった日

下落していく株価チャート

その後、株の売買を繰り返しながら、少しずつ利益も出ていました。
バブルで景気が良く、私も調子に乗っていたと思います。

ある日突然、証券会社の営業マンから電話がかかってきました。
「お持ちの株の1社が、大暴落しています」

その時点で、すでに買った値段より3割ほど下がっていました。
「今すぐ売ってください」と頼みましたが、返ってきた答えに言葉を失いました。
「買い手がつかない株は、価格がゼロになるまで下がり続けます」

売りたくても、売れない。
当時は今のように、自分のパソコンやスマートフォンで株価を見ることはできません。
株価を知るには、営業マンに電話で聞くか、翌日の新聞の証券欄を見るしかないのです。
電話をかけるたびに、新聞を開くたびに、数字が下がっていく。
それをただ確かめることしかできませんでした。

後から聞かされた理由は、粉飾決算による倒産でした。
「業績がいいのに割安です」という営業マンの言葉を信じて買った200万円分の株券が、本当にただの紙切れになったのです。
当時の株券は、文字どおり「紙」でしたから。

怒りよりも、虚無感でした。
営業マンの言いなりで、自分では何もわからないまま買っていた私がバカだった。
下がっていく株価を、ただ確かめることしかできなかったあの恐怖は今でも忘れられません。
「2度と株はやらない」と、そのとき強く思いました。


やめては戻る、を繰り返した長い年月

空っぽの財布

しばらく株をやめました。
でも、かつて利益が出たときの記憶が頭の片隅に残っていて、しばらくするとまた始めてしまうのです。

20万円の利益が出ると、自分へのご褒美にと贅沢な買い物をする。
翌月、20万円の損が出ると、「先月の利益で相殺できる」と自分に言い聞かせる。
でも実際には、手元のお金は確実に減っていくのです。

実態のない景気に浮かれていたバブルの時代と、私自身の行動はよく似ていました。
少し儲かる。また損をする。売るに売れない塩漬け株を何年も持ち続ける。
その繰り返しでした。

日本の株式市場は「失われた30年」と言われます。
私と同じように、塩漬け株を抱えたまま長い年月を過ごした方は、きっと多いのではないでしょうか。

ある時期に「もう絶対やめる」と全部処分しました。
2014年にNISA(少額投資非課税制度)が登場したときも、「また怖い思いをするくらいなら」と、手が出せませんでした。


新NISAと、アップル株1株

手に持ったiPhone

後から調べて知ったのですが、1株から買える「単元未満株」という仕組みは、2004年ごろから一部の証券会社で扱われていたそうです。
でも当時の私は、全く知りませんでした。証券会社も、少額の取引を積極的には宣伝していなかったのだと思います。

私が「株は1株からでも買える」と知ったのは、ずっと後のことです。
それでも、すぐに買う気にはなれませんでした。過去の怖さが、心のどこかに残っていたのだと思います。

転機は、2024年に新NISAが始まったときです。
利益が出ても税金がかからない。それだけで、投資へのハードルがぐっと下がったように感じました。

「これなら私にもできるかもしれない」

ただ、70代に入った私には、持っているお金を減らすわけにはいきません。
だからこそ、1年かけてお金の勉強をしました。
過去の失敗を繰り返さないために、慎重に、慎重に。

勉強しながら、ふと気づいたのです。
「私はずっとiPhoneを使っている。Appleの製品を通じて、この会社が成長していくのを何年も見てきた。これは私が自分の目で確かめてきた、信頼できる会社ではないか」

かつての私は、営業マンの言葉だけで株を買って失敗しました。
今度は違います。自分の暮らしの中で、自分の目で見てきた会社を、自分で選んだのです。

外国株を買うのは難しいと思っていましたが、やってみると意外なほど簡単でした。
投資金額は2〜3万円。値上がりしても贅沢できる金額ではありません。

でも、1株買っただけで、Appleのニュースが他人事ではなくなりました。
新製品が発表されるたびに株価が気になります。値上がりすればうれしいし、少し下がっても「まあいいか」と思える。
それ以上に、アメリカ経済の成長の一部に、自分も参加しているという密かな喜びがあります。

今もこの株を持ち続けています。売るつもりはありません。
儲けるためではなく、応援するための投資。これが私にはちょうど良かったのです。


勉強した分だけ、不安は減る

机の上のノートとコーヒー

1年間勉強してから始めた新NISA。
勉強した分だけ、不安は減りました。失敗もありませんでした。

今は1株投資だけでなく、投資信託も少しずつ活用しています。
大きく増やすつもりはありません。でも、お金がただ眠っているのではなく、世の中とつながって動いている実感があります。

周りの友人に新NISAを勧めると、「やってみたい」と言ってくれる人が増えてきました。
「やって良かった」と言ってもらえるたびに、本当にうれしくなります。


投資は「楽しむもの」でいい

朝日が差し込む公園

お金を減らしたくない。大きく増やしたいわけでもない。
ただ、経済の動きを感じながら、日々を少し豊かに過ごしたい。

70代になった今、私はそう思っています。

株が怖いと感じているあなたへ。
完璧な知識がなくても、大きなお金がなくても大丈夫です。
まずは好きな会社の株を1株だけ。それだけで、世界の見え方が少し変わりますよ。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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この記事を書いた人

70代のKIKOです。投資歴は45年。28歳でJAL株から始め、株が紙切れになる大失敗も経験しました。いまは「増やす」より「減らさず、ゆるく楽しむ」が信条。投資のこと、70代の暮らしとお金、そして家族が困らないためのデジタル終活まで、肩の力を抜いてつづっています。備えて、笑って、お金も長生き。

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