わが家でこんなことがありました。まずは4コマでどうぞ。




「複利(ふくり)」という言葉、聞いたことはありますか?
なんだか難しそうな響きですよね。私も長いあいだ、「利息の計算方法のことでしょう?」くらいにしか思っていませんでした。
でも新NISAが始まる前の年、勉強のつもりで電卓を叩いてみて、腰を抜かしそうになりました。今日はその話をさせてください。
複利とは? 利息にも利息がつく「雪だるま」のしくみ
複利をひとことで言うと、利息にも利息がつくことです。
たとえば100万円を年7%で運用できたとします。1年目の利息は7万円。この7万円を受け取って使ってしまうと、翌年の元手は100万円のまま。利息はずっと年7万円です。これが「単利(たんり)」に近い状態です。
一方、利息を使わずにそのまま乗せておくと、2年目は107万円に7%がつきます。3年目は114万円あまりに……という具合に、利息が利息を生んでいく。これが「複利」です。
雪だるま作りと同じです。小さな雪玉は、転がしてもなかなか大きくなりません。でも大きくなるほど、ひと転がりでくっつく雪が増えて、あるところから急にずんずん育っていく。

図の右はしの「15年後」を見てください。利息を毎年手に取って使った場合は、袋の100万円と、もらった利息105万円をあわせて205万円。利息を袋に戻し続けた場合は、約276万円。その差、71万円です。
1年ずつ数字で並べると、こうなります。複利の「利息」の欄が、年を追うごとに少しずつ大きくなっていくのがわかりますか?
| 1年目 | 2年目 | 3年目 | 5年目 | 10年目 | 15年目 | 受取合計 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 単利 元本 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 205 |
| 単利 利息 | 7 | 7 | 7 | 7 | 7 | 7 | |
| 複利 元本 | 100 | 107 | 114.5 | 131.1 | 183.8 | 257.9 | 約276 |
| 複利 利息 | 7 | 7.5 | 8.0 | 9.2 | 12.9 | 18.0 |
※単位は万円。年7%で計算し、見やすいように小数第1位で丸めています。お手元の電卓で確かめるときは、丸める前の数字にそのまま「×1.07」を繰り返してみてください。
そして、これはまだ序の口です。同じ100万円を30年置いた場合——
- 利息を毎年使う(単利):310万円
- 利息を転がし続ける(複利):約761万円
同じ100万円、同じ7%なのに、450万円も違うのです。
実は昔、「利息で家賃」を払っていました
じつは私、利息のすごさ自体は若い頃に体験済みでした。
バブルの頃、家を売って賃貸に引っ越したことがあります。売ったお金を金利9%台の定期預金に預けたら、利息だけで家賃も生活費もまかなえてしまいました。今では信じられない話ですよね(この預け先がのちにどうなったかは、いつか別の記事でお話しします)。
ただ、いま振り返ると惜しいことがひとつ。あのときの私は、利息を毎年ぜんぶ使っていたのです。つまり、さきほどの「単利」の暮らし。雪だるまは、ひとかけらも育っていませんでした。

逆に、複利が「敵」に回った思い出もあります。住宅ローンです。バブルの頃は借りる金利も高くて、毎月きちんと払っているのに、利息の分を払うのが精一杯。払っても払っても、元本がなかなか減らないのです。あのときの雪だるまは、私の側ではなく、貸してくれた銀行の側で転がっていたわけですね。複利は、借りる側に立つと恐ろしく、育てる側に回れば頼もしい——これも身をもって知りました。

「オルカンは年7%」って本当?と疑った私
時は流れて、銀行の金利はほぼゼロの時代。私の株も長いこと塩漬けのまま、休眠状態でした。
3年前、新NISAが始まると聞いて、その前の年に1年かけて勉強しました。そこでよく目にしたのが「オルカンの利回りは年7%程度」という話です。
オルカンというのは「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」という投資信託の愛称で、これ1本で世界中の2,000社以上の会社にまとめて投資できる商品です。トヨタもアップルも、みんな少しずつ入っている「世界経済の詰め合わせパック」だと思ってください。

ゼロ金利の時代に年7%? 私は信じられなくて、自分で調べました。すると、オルカンがお手本にしている「全世界の株式の指数」は、過去30年の平均でおよそ年7〜10%(円換算・配当込み)で成長してきたというデータが見つかりました。7%は、むしろ控えめなほうの数字だったのです。
ただし、ここは初心者の方にこそ知っておいてほしいのですが——毎年きちんと7%ずつ増えるわけではありません。2割、3割と上がる年もあれば、リーマン・ショックの年のように半分近くまで下がったこともあります。それを長い年月でならすと平均7%くらいだった、という意味です。あくまで過去の実績で、将来の約束でもありません。
調べていて、もうひとつ心強いデータに出会いました。100年以上前までさかのぼると、世界恐慌にブラックマンデーにと、株価が大きく崩れた時期は何度もあります。ところが過去の記録では、そのどこから数え始めても、15年持ち続けていればマイナスになった時期はなかったというのです。もちろんこれも過去の話で、未来がそうなる保証はありません。それでも私は、「途中で下がるのは避けられない。でも15年待てるお金なら、慌てなくていいらしい」と受け取りました。
だからこそ、複利は「時間をかけて転がすもの」なんですね。
電卓を叩いて、腰を抜かした夜
それで私は、電卓を叩きました。チラシの裏にメモしながら、何度も。
まず、月5万円ずつ15年積み立てたら?(年7%で計算した場合)
元本900万円が、約1,585万円。
増えた分は685万円です。打ち間違えたと思って、3回計算し直しました。
次に、こうも考えました。銀行に置いてあるお金は、物価が上がるぶん実質的に目減りしていく。チビチビ積み立てている場合じゃないのでは? もし、同じ900万円を最初にまとめて入れて、15年置いたら?
約2,483万円。
同じ900万円なのに、入れ方がちがうだけで約900万円もの差がつく計算です。先に入れたお金ほど、雪だるまを転がす時間が長いんですね。
もちろんこれは「7%がずっと続いたら」という机上の計算で、税金や値下がりの時期は考えていません。それでも、「銀行に置いておくだけ」との差に、私は言葉を失いました。
30代の知り合いに計算してあげたら
この電卓遊び、実はいちばん驚くのは若い人です。
娘ほど歳の離れた知り合いにNISAを勧めたとき、その人の年齢に合わせて30年後を計算してあげました。月5万円を30年、年7%なら——
元本1,800万円が、約6,100万円。
40年なら1億円を超える計算です。その人は半信半疑の顔でスマホのAIに「月5万円を30年、年7%の複利で計算して」と聞いて、同じ答えが出てくると「えっ」と画面を二度見していました。私はチラシの裏と電卓、あちらはAI。道具は違っても、出てくる雪だるまの大きさは同じです。

雪だるまは、転がす時間が長いほど化けます。積立なら15年でおよそ1.8倍、30年でおよそ3.4倍。時間こそが複利の燃料なんです。だから私は会う人ごとに「若い人がNISAをやらないのはもったいないよ」と言って回っています。半分お節介、半分本気です。
70代の私でも、複利は味方でした
「じゃあ70代のあなたはどうなの? 残り時間が少ないでしょう」と言われそうですね。そのとおり、私に40年はありません。
でも、オルカンに預けて2年ほどになりますが、残高を見ると、今日の時点でプラス36.4%。アメリカの経済が好調なおかげで、正直、出来すぎの数字です。
この上昇がずっと続くとは思っていません。株の世界には、忘れた頃にショックがやってくるものです。いつか大きく下がる日も来るでしょう。それでも私は売らない予定なので、さきほどの「15年」の話を知ってからは、下がる日が来ても慌てずにいられる気がしています。
2年でも、雪だるまはちゃんと転がり始めるんです。70代でも遅すぎることはないなあ、というのが正直な実感です。
「面白くない」は最高の褒め言葉
最後にひとつ。昔から株の売り買いをしてきた人ほど、投資信託を勧めない傾向がある気がします。先日お会いした方も「投信は株ほど値動きがないから、面白くなくて買わない」と。証券会社も、売り買いしないお客さんからは手数料が取れませんから、あまり熱心には勧めません。
でもね、と私は思うのです。その「面白くない」こそが、初心者にこそ勧めたい理由ではないかしら。
毎日値段を見なくていい。売り買いの腕もいらない。世界中に散らばっているから、一つの会社が倒れても紙切れにはならない(私は昔、株券を紙切れにしたことのある人間です)。あとは時間が、雪だるまを転がしてくれます。
ハラハラドキドキしたい人には向かないけれど、「増やしたいけれど怖い」という人には、これほど心強い相棒はなかなかありません。
まとめ:あなたの雪だるまも、計算してみませんか
複利は、お金持ちだけの魔法ではありません。月5万円が無理なら3万円でも1万円でも、雪だるまの理屈は同じです。
私はチラシの裏と電卓で確かめましたが、あなたはもっと簡単です。下の枠に毎月の金額と年数を入れて、「計算する」を押してみてください。あなたの雪だるまがどこまで育つか、その場でわかります。
⛄ 雪だるまシミュレーター
※月ごとの複利で計算した概算です。税金・手数料は考えていません。将来の成果を約束するものではありません。
数字を自分の目で見ると、景色が変わりますよ。私がそうでしたから。もっと細かく試したい方には、金融庁の「つみたてシミュレーター」という公式の計算ページもあります。
※この記事は私の体験と一般的な情報をもとに書いています。「年7%」は過去の実績に基づく仮定の数字で、将来の運用成果を約束するものではありません。特定の商品の購入をおすすめするものでもなく、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


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