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株って人間ドラマ。ユニクロ株で儲けたのに、自分の「目利き」を信じきれなかった話

まだ株を始めていない方は、株の取引って「ただ画面の数字を追うだけのもの」と思っていませんか?
実は、売り買いのボタンを押す裏側には、人それぞれにいろんな物語やドラマがあるんです。

「ゆる株日記」、今回は私が昔、「ユニクロ(ファーストリテイリング)」の株を買って、しっかり儲けたのに「大魚を逃した」という、ちょっと悔しい体験談をお話しします。

株を長くやっていると、こういう”儲けたのに悔しい”話がいくつも出てきます。これも、そのうちの一つです。


目次

アパレル本社で感じた「ユニクロの脅威」

【↑画像】創業当時のロードサイド店舗のイメージをAIで作成

私がユニクロの株を買ったのは、まだフリースが大ブームになる前のことでした。

当時、私は大手アパレル企業の本社に勤めていました。
そのころのアパレル業界の常識は「服=よそ行き(特別な日に買うもの)」。カジュアルで手頃な価格の服屋さんは、まだ少なかった時代です。

そこに「普段着」というジャンルへ、衝撃的なコマーシャルとともに乗り込んできたのが、ユニクロでした。
レジ前でおばちゃんが突然、着てた服を脱ぎ、「ほかの服にかえて〜な」と言って下着姿で売り場に消えていく——あの頃のCM、覚えている方も多いのではないでしょうか。

KIKO : 心の声

あのユニークなCM、ただのウケ狙いじゃない。どんな理由でも返品に応じるなんて、この会社は本気でお客を満足させようとしている……!

本社の中枢に近いところで業界全体を見ていた私は、街に現れる新しいブランドに敏感でした。だからこそ「この会社はアパレルのあり方を変える脅威になる」と直感したのです。

当時のユニクロ株は「1,000株」をひとまとまり(単元)で買うのが普通でしたが、私は100株という小さな単位でも買える方法を使いました。
株価が2,000円前後で上下していたころ、まずは1,800円で100株を購入。そこから次々に買い足して、最終的に400株まで持ちました。

普段の私は、同じ銘柄を追加で買い増すようなことは滅多にしませんでした。それでも買い足したのは、それくらい「ユニクロはきっと成長する」と強く感じていたからだと思います。


株価上昇! しかし襲いかかる「利益確定の誘惑」

予想どおり、ユニクロはロードサイドから原宿、銀座へと次々に進出し、株価はどんどん上がっていきました。

株価が上がるたびに、私の頭には悪魔のささやきが聞こえてきます。

KIKO : 心の声

よっしゃ、2倍になった! 利益が減る前に100株を手放そう

おお、また上がった! 利益のあるうちに、もう100株を売っておこう

「利益確定」——上がっているうちに売って、儲けを手元に確定させること。これがまた、強い誘惑なんです。

結局、私はちょこちょこと小出しに売り続け、最後は買ったときの4倍ほどになったところで、持っていたユニクロ株を全部手放しました。

売り切ったときは「よっしゃー! 儲かった!」と喜びでいっぱい。そのあと少し株価が上がっても、「もう十分、これでいいわ」と満足していました。


資産4倍で大成功! ……のはずが

2,000円ほどで買った株を4倍で売り切ったのですから、投資としては大成功です。
しかし、ユニクロの株価は、私の想像を遥かに超えて、まだまだ上がり続けました。

しかもこの会社は、その後「株式分割」を何度も行ったのです。

株式分割とは

1つの株を2つ、3つに分けること。持っている人は、何もしなくても株数が自然に増えていきます。

——ちなみに、私が株を持っていたころは、株数が増えるしくみに「株式分割」と「無償交付(むしょうこうふ)」という、意味の違う2つの呼び名がありました(2001年に「株式分割」へ一本化されています)。

ざっくり言うと、株式分割は「株を買いやすくするために株を細かく分ける」もの、無償交付は「企業が儲かったぶんを株主に新しい株でおまけする」利益のボーナスのようなもの。

ユニクロの場合、増えた比率に「1.1倍」「1.5倍」といった半端な数字が並んでいて、これは当時、無償交付でよく使われたやり方でした。あれだけ急成長していた会社ですから、株主へのごほうびだったのかもしれませんね。

もし私が、あのとき手放した株を「100株」だけでも売らずに持ち続けていたら、どうなっていたか——。

株式分割で100株が4,356株に増えていく図

たった100株が、ただ持っているだけで、いまは4,356株。株数だけで40倍以上です。
そこに株価の上昇まで重なって——もう、考えるのもおそろしい金額になっていました。

その数字を見ているうちに、ふと気づいたんです。

私は、ユニクロの成長を誰よりも確信していました。だからこそ、普段やらない「買い足し」を何度もしたのです。
それなら、なぜ100株だけでも残しておかなかったのか?

  • 成長を確信していたのに、「損をしたくない」気持ちに負けた
  • 売り買いのテクニック以前に、自分の「目利き」を信じきれなかった

せめて100株だけでも残していれば……。
株価が手の届かない雲の上へ行ってしまってから、そんな後悔がジワジワと湧いてきたのです。


ゆる株教訓:株の最大の敵は「自分の中にいる」

株のいちばんの難しさは「銘柄選び」ではなく、「持ち続けること」

いくらプロの目線で「この企業は伸びる」とわかっていても、いざ身銭を切ると、「確実な利益を失いたくない」という欲望(防衛本能)が勝ってしまう。
「企業を見る目(目利き)」と「株を持ち続ける胆力」は、まったくの別物だったのです。

では、株価の上下に一喜一憂しなくなった今の私なら、当時のユニクロ株を持ち続けられたでしょうか?

……いいえ、やっぱり目の前の欲には勝てないでしょうね(笑)。

KIKO : 心の声

ユニクロ株をずっと持ち続けた人がいるとすれば、おそらく株を持っていることを忘れていた人だと思う
大きく利益が出たら、誰だって売ると思う、人間だもの……

株って、結局は自分の心との戦いなんです。
難しくて、ちょっと悔しくて——でも、だからこそ面白い。
売り買いのボタンの裏側には、こんな人間ドラマがあるんですよ。


*この記事は私・KIKOの個人的な体験をもとに書いています。投資は必ず自己判断・自己責任でお願いします。*

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この記事を書いた人

70代のKIKOです。投資歴は45年。28歳でJAL株から始め、株が紙切れになる大失敗も経験しました。いまは「増やす」より「減らさず、ゆるく楽しむ」が信条。投資のこと、70代の暮らしとお金、そして家族が困らないためのデジタル終活まで、肩の力を抜いてつづっています。備えて、笑って、お金も長生き。

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